ダナ・ホワイト
Dana White
1969/7/28
デイナ・ホワイト(Dana White)は、アメリカ合衆国のスポーツプロモーション会社「ズッファ(Zuffa, LLC)」の代表であり、同社の運営するアメリカ随一の総合格闘技イベント「UFC」の代表である。コネチカット州マンチェスター出身。WOWOWのUFC放送ではデイナ・ホワイトと表記されている。
来歴
元はアマチュアボクサーであったが、1992年、ネバダ州ラスベガスに自身の会社「ダナ・ホワイト・エンタープライゼス」を設立。アマ時代の経験を活かし、ボクシングの指導やボクササイズのジムを経営する。
経営が軌道に乗り、プロボクサーのマネージメント業に乗り出すうちに、いつしか総合格闘技の選手のマネージメント業も行うようになった。その中には後のUFCライトヘビー級王者ティト・オーティズやチャック・リデルもいた。
そのような状況の中、当時SEG(Semaphore Entertainment Group)社が運営していたUFCが暴力性への批判等から規模を縮小させた際に、身売り先を探していたことを知り、かつてネバダ州アスレチック・コミッションにおいてコミッショナーを務めていたハイスクール時代の同級生ロレンゾ・フェティータ(ステーション・カジノ経営者)にコンタクトを取る。
ほどなくしてロレンゾとその兄フランクはUFCに関する一切の権利を買収し、ズッファ社がUFCを運営することとなった。ダナ・ホワイトはその社長に任ぜられる。
その後、交渉とルール整備によってCATVの放送を復活させ、UFCを全米随一の格闘技イベントへと成長させた。
現在、主にヨーロッパを主軸に全世界に進出中であるが、積極的な姿勢であらゆる格闘技イベント関係者から注目されている。
人物
この世には総合格闘技イベントはUFCとPRIDEの2つしかないと語っていたが、買収直後の2007年5月にはPRIDEの名称を「下らない名前」と語った(一方で「PRIDE
Fighting Championship」であれば最高の名称であるとしている)。
2007年にPRIDEを買収した後、PRIDEの大会開催を目指していたが開催できずにPRIDEが消滅したことについては「我々にはPRIDEのための計画があったし、日本大会を開催するつもりだった。しかし、そこにはヤクザ、マフィアが横行していた。あそことビジネスをするのは実に面倒だ。ヤクザのせいでPRIDEというブランドが消滅することになってしまったのは非常に残念だ」と語っている。
UFC以外の他の総合格闘技団体に対しては批判的な姿勢をとっており、BodogFightやEliteXCなど、2006年以降に勃興した多くの新興イベントを「ジョーク」と発言し、さらに、六本木でのMMA版スーパーボウル構想においての会見では「PRIDEとUFC以外はジョーク」と発言した。日本のHERO'Sのアメリカ興行であるDynamite!!
USAを例に挙げて嘲笑するなど、UFCへの自負が強い。また、地上波のNBCでも放送されていてUFCに次ぐMMA団体と評価されているStrikeforceについては「UFC以外のMMA団体はジョークばかりだが、Strikeforceのことだけは認めている。スコット・コーカーは素晴らしいマッチメイカーだし、リスペクトに値する」と賞賛していた。しかし、2009年8月にUFCがエメリヤーエンコ・ヒョードルとの契約交渉が決裂し、ヒョードルがStrikeforceと正式契約した途端に「あそこは(Strikeforceじゃなくて)Strike-Farce(茶番劇)だ!彼らは田舎でドサ回りをしているだけで、金もなければファイターもいない。取るに足らない団体だ」と態度を急変して猛烈に批判している。後に「Strikeforceは素晴らしい団体だが、Strikeforceを放送しているShowtimeの連中がクソなんだ」と発言を訂正している。
また、UFC以外の他団体と契約しているファイターについても批判的な姿勢は変わらず、世界中の格闘家や専門家から「世界最強」と評価されているエメリヤーエンコ・ヒョードルに対しても、ヒョードルとUFC参戦の交渉している最中には高く評価するコメントを残していたものの、ヒョードル側とUFCの交渉が決裂した途端に「ヒョードルは2005年にミルコ・クロコップと対戦して以来、トップファイターと呼べる選手と対戦していないじゃないか!そんな奴が世界最強だなんて馬鹿げたジョークだ!」と手の平を返すように批判し始めた。しかし、2008年にヒョードルが元UFC世界ヘビー級王者ティム・シルビアに秒殺勝ちした一戦を目の当たりにしてからは「ヒョードルに対する考え方が変わった」と驚愕していた。しかし、その後もヒョードルに対しての批判は連日のように続けている。ヒョードルを獲得できない苛立ちが影響しているのか、支離滅裂な発言も目立つようになってきている。カーマイケル・デイブのインタビューでヒョードルについて突っ込まれた質問をされた際には遂に激怒してブチキレてしまい、デイブから「ファンはヒョードルにUFCに上がって欲しいと思ってます。あなたは“ヒョードルは強い”とばかり言われてウンザリしているだけでは?なぜヒョードルをUFCで戦わせようとしないのですか?」と言われると、「なぜだ?
彼はパウンド・フォー・パウンドには程遠い存在だ。それに彼がUFCで戦わないのは私のせいではなく、彼のせいだ」と責任逃れし、「サンボに愛着を持っているヒョードルに対して“サンボの試合をやらずにUFCに専念しろ”とか、チャンピオンでいる限りは自動的に契約延長、といったおかしな契約方針を変えた方がいいのでは?あなたはファンが望むことは私が望むことだって言ってますよね。だったらヒョードルvsUFC王者の試合は1試合契約でもいいから実現させないと」と言われると、「くだらない!それがファンの望む試合か?彼がとても強いというのなら1試合じゃおかしいだろう!こちらは大金を払っているんだからUFC以外の試合をして怪我されたら困るんだ!」とコメント。さらには「ヒョードルはUFCの歴代王者にも勝ってますよ。アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラに2回、アンドレイ・アルロフスキー、シルビア、その他のUFC王者にも」と言われると、「ノゲイラ戦なんて大昔じゃないか。シルビアなんて元々強くないし、アルロフスキーはアゴが弱い」とUFC歴代王者達の実績さえも全否定するかのような発言するなど支離滅裂ぶりが現れている。ちなみに、かつてダナはアルロフスキーがUFCを離脱した件について「契約を更新できなかったことが悔やまれる唯一のファイターがアルロフスキーだ。彼はトップファイターだから、またUFCに戻ってきて欲しい」と語っていたので、自身の発言をも否定していることになる。また、シルビアはアルロフスキーに2勝1敗と勝ち越している。
前述のように他団体のファイターに対して辛辣な批判を繰り返しているが、その一方でエディ・アルバレス、五味隆典、山本"KID"徳郁、ジェイク・シールズ、ゲガール・ムサシといったファイター達については「彼らの実力は紛れも無いトップファイターだ。だからこそジョーク団体とは縁を切って早くUFCに参戦するべきだ」と語っている。
桜庭和志のUFC参戦を熱望している。記者から「近年の桜庭の戦績はトップファイターとは呼べないものだが、なぜ参戦を望むのか?」と聞かれると、「それは彼がサクラバだからだ。サクラバがMMAの人気に絶大な貢献をした偉大な生ける伝説であることは今更説明する必要もないだろう」と語っている。
MMAのパウンド・フォー・パウンドについては「アンデウソン・シウバこそが間違いなくパウンド・フォー・パウンド世界最強王者だ。彼は常に強敵と戦い続け、常に圧勝し続けている。ジョルジュ・サンピエールも素晴らしい王者だが、後にリベンジしたとはいえマット・セラに一度不覚を取ってしまったことがアンデウソンとの差だな。ヒョードルはパウンド・フォー・パウンドではない。UFCファイターは常に最高の相手と対戦しているが、ヒョードルは大抵ロシアのビュッフェにいる。彼が覚悟を決めて世界最高のファイターと対戦しない限り、彼をパウンド・フォー・パウンドと言っている連中は正気の沙汰じゃない」とコメントしている。しかし、2010年4月10日のUFC
112でアンデウソンが相手を圧倒しているにもかかわらず、相手に対しての度重なる挑発行為と、後半の消極的な試合運びに対して激怒し、「このビジネスを始めて10年になるが、これまでで最低の出来事だった。メインイベントの最中にアンデウソンのマネージャーにチャンピオンベルトを投げつけて帰ったのは初めてだ」「俺以上にアンデウソンを応援してきた人間はいない。ずっと彼をパウンド・フォー・パウンドだと言い続けてきたし、不甲斐ない試合をした時もサポートしてきた。才能があるならマイク・タイソンのように早く試合を終わらせてほしい」と怒りを露にし、「次のアンデウソンの試合はメインイベントではなく、アンダーカードにするかもしれない。もしアンデウソンがもう一度あんな試合をしたら彼が現役UFC世界ミドル級王者であろうとパウンド・フォー・パウンド王者であろうとも即座に解雇する」とまで発言している。
アンデウソン・シウバが、パウンド・フォー・パウンド最強のボクサーとして知られる伝説の元ボクシング世界王者ロイ・ジョーンズ・ジュニアと、ボクシングルールで対戦することを熱望しており、ロイ・ジョーンズもこの対戦に関して意欲的だが、UFCは選手に対して独占契約を結んでおり、UFC系列の試合以外には一切出場させないことにしているため、実現していない。それを受けてロイ・ジョーンズが「UFCでのMMAルールでも構わないからアンデウソンと対戦したい」と言ったが、ダナ・ホワイトは「私はロイ・ジョーンズの悪口は言いたくないし、彼のことが好きだしファンだった。しかし彼の全盛期は約15年前だ。今の彼は世界最高レベルのボクサーではない。もうお釣りも残っていない。もちろん試合をやろうと思えばやれるし、大々的に宣伝して儲けることも可能だろう。でもそれは我々がお金に困っていた2000年代前半までの話だ。稼ぐことは出来たとしても、長期的に見ればMMAに悪影響を及ぼすことになる。我々はこのMMAというスポーツが好きだからそういう試合はしたくない。K-1やPRIDEと同じになってしまうからね」とコメントし、総合格闘技に対する愛着を示している。
ティト・オーティズはUFCのファイターであり、かつてはダナがティトのプロモーターを務めていたが、ダナはティトを激しく嫌っており、記者からティトについて聞かれる度に「ティト・オーティズは地球上最大の大馬鹿野郎だ!」などと散々なまでに罵っている。一方のティトもダナを激しく嫌っており、ティトのUFC最後の試合となったUFC
84の試合前日会見などでは「DANA is my Bitch」とプリントしたTシャツを着てダナを挑発した。その後ティトとダナは契約交渉を重ねて和解し、ティトはUFCと再契約。再契約した直後のUFCファンイベントでは、来場したファンが持参した「DANA
is my Boss」とプリントしたTシャツをティトが着るパフォーマンスを行った。
また、女性が総合格闘技をすることを嫌がっていることでも知られている。しかし、ジーナ・カラーノについては「私はジーナ・カラーノが優秀なファイターだと思っているし、スター選手だと思っている。EliteXCのようなジョーク団体にはもったいない」「EliteXC:
Heatでは彼女がメインイベンターを務めるべきだった」「もしジーナと契約できるのであればWECに女子部門を作る」と高く評価している。
YouTubeの公式ビデオブログやTwitterなどで大会の裏側や会見の予告をしている。Twitterでは「今から30分後に俺は○○に行くから、そこに来たファンにはUFCの招待券をプレゼントしよう」などとツイートしてファンに招待券をプレゼントすることが多い。また、UFCの大会だけでなく、ボクシングのマニー・パッキャオの試合の招待券をファンに配ったこともある。
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